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きこえないお子さんの発見から教育まで のアーカイブ

聞こえない子を育てるために参考になる本

■豊かなコミュニケーションのために
『ベビーサイン-まだ話せない赤ちゃんと話す方法―』リンダ・アクレドロほか(たきざわあき訳)、径(こみち)書房、1365円
まだしゃべらない赤ちゃんと身振りを使って話す方法として話題になり、新聞などでも紹介されました(2001年7月18日朝日新聞など)。最近のお母さん方の中には「おつむてんてん」とか「げんこつ山のたぬきさん」などの手遊び歌を知らない人も増えています。子供に見向きあうきっかけになり、感受性を磨く練習として聞こえる聞こえないに関わらず読んでほしい本です。

・関連図書『ベビートーク』サリー・ウォード(汐見稔幸訳)、小学館

■障害をみつめ、考えるために
『障害児もいる家族物語』玉井真理子、学陽書房、1648円
 「しょうがいをもっていても、子どもたちがその子らしくのびやかに暮らせるような、そんな社会であるためには、しょうがいをもっている子どもの母親が、その人らしくのびやかに暮らせるような社会でなければなりません。・・・子どもを大事にしながら自分も大事にするような、そんな人生の選択が私たちにもあっていんだし、そんな人生の選択を私たちはしてきたのだし、これからもしようとしているんだとういうことを、私たち自身で表現してみたかったのです。」そんな思いで書かれた本です。

『障害児の親ってけっこうイイじゃん』ニコちゃん通信の会、ぶどう社、1575円
「・・泣いたよね~。わが子が『障害児』って言われる存在なんだって、わかったとき。『障害児』って、私たちとは違う世界で生きる子どもたちのような気がして。こわかった、不安だった、悲しかった、そして落ち込んだ・・。あれは・・・わが子の運命を嘆いて流した涙だけじゃなくて、障害児の親になってしまった自分のために、流した涙でもあったんじゃないかなぁ。」そんな書き出しで始まる本。それが、なぜ、こう思えるようになったのか・・元気の出る本です。

『発達に遅れのある子の親になる』海津敦子、日本評論社、1470円
ジャーナリストであった筆者の三女には発達の遅れがあります。その告知を受けたとき大きなショックを受け落ちこみます。「この子はこの子なんだ。障害があっても可愛い子には変わりはない。でも将来が・・・」そんな気持の繰り返しの中で、自分の中にどうしてこれほどの不安や恐れがあるのか、他の人たちはどうなんだろう、と思い始め、第一線で活躍する専門家に取材を始めます。わが子の障害を受容することはたやすい道のりではないこと、周囲がその道のりをどう支えていけばよいのか、必見の本です。

・関連図書
『今どきしょうがい児の母親物語』ぽれぽれくらぶ、ぶどう社、1523円
『恢復する家族』大江健三郎、講談社、1600円

■発達やことばの遅れのある子を育てるために
『こころをラクにあたまをクリアに』大林泉、ぶどう社、1680円
「先生方に聞いてほしい。子どもももちろん大事だけれど、親だって大事。親である私の気持を、誰かわかってほしい。いい親じゃないのは自分でもよくわかっているけれど、私だって苦しいんです。」そう、この本は、親自身の、不安や悩みや辛さに焦点を当てた本です。筆者は心の相談にのる臨床心理士という「専門家」であり、重い知的な障害をもった子どもの母親です。

『こどものこころとことばの育ち』中川信子、大月書店、1470円
『1・2・3歳ことばの遅い子―ことばを育てる暮らしのヒント―』同上、ぶどう社、1050円

 中川信子さんは言語聴覚士です。お母さんお父さん方のためにこどものことばや心の発達についてわかりやすく書かれています。たくさんある著書のうちの一部です。

人工内耳について

補聴器を使っても、聴覚活用ができないような高度な聴覚障害に対して行われる手術で、電極を耳の蝸牛に挿入して、音を電気刺激にして直接聴神経に伝える装置のことです。かつては、成人の聴覚障害者、主に大きくなってから聞こえなくなった中途失聴者がその対象でしたが、ここ数年、先天性の聴覚障害児にもその手術の適応が認められ、またその手術適応年齢も2歳まで降りてきています。
 補聴器は、音を増幅して鼓膜に伝え、それが蝸牛を通して、脳の聴神経に伝わります。ただいくら増幅しても音のゆがみなどは修正できないので、音としては届いてもそれが言葉として聞き取れない、要するに言葉の聞き取りとしては補聴器が役に立たないということが高度の聴覚障害には起こります。それに比べ、人工内耳は40デシベルくらいの音刺激を確実に聴神経に届け、いわば80デシベルくらいの人が補聴器をつけたくらいまでの状態にもっていきます。ただし、その届いた音刺激が言葉として聞き取れるようになるには、長期の丁寧な聴能訓練が必要ですし、また人工内耳の手術をしても、3割の子どもにはその効果が出ないと言われています。
 補聴器を使っても効果がない、いわゆる<ろう>といわれる状態の子どもを、手術が成功すれば中等度の難聴といわれる状態にすることができるというわけです。どうしても話せるようになってほしい、音や言葉に反応してほしいと願う聞こえる親なら、人工内耳手術の可能性も考えることでしょう。また、すでに医療機関から、こうした方法もあると説明を受けている方もいることと思います。

 幼児の人工内耳手術に関しては、まずその選択が親である保護者に委ねられている難しさがあります。実際に手術を受け、全身麻酔の手術のリスクを負うのは、親である自分ではなく我が子であること。聞こえの問題以外は健康で元気な子どもであること。手術後は多分一生、人工内耳装用に付きまとう禁忌事項と縁が切れないこと。さまざまなことを考え、悩み、決断しなければなりません。大変なことだと思います。どうか、その選択のときに、十分な話し合いや相談が受けられる体制の医療機関であることを願います。そして、医療機関からだけの情報ではなく、さまざまな立場からの情報を十分入手し、吟味してほしいです。聞こえない子を幸せにする方法は、けっして一つではないこと、ろうとして生を受けた我が子がどんな育ちを経てどのような大人になっていくのか、どんな人生を歩もうとしているのか、成人の聴覚障害者と出会ったり、子どもを育て上げた先輩の親たちの話を聞いて、よく考えてほしいと思います。
人工内耳は聞こえない子を聞こえる子にする魔法の手術ではありません。埋め込み型の補聴器の一種と考えておいたほうがいいのかもしれません。過大な期待を持ちすぎないように、特にご両親以外のご家族などは、それが本質的な解決策になると考えられるかも知れませんが、そうではないのだということをよく理解してください。聞こえない子を聞こえにくい子にすることであり、それはそれでやはり充分な配慮や指導を受けたり、丁寧な子育てをしていく必要があり、さらに教育環境の選択の問題も出てきます。医療現場の小さな言語指導室からでは見えないさまざまな問題が、70~80デシベルとなった子どもの周りに起こるだろうことを想像してください。そうしたもろもろのことを理解するためにも、どうしても成人の聴覚障害者との出会いが必要です。医療現場からでは見えない世界があることを、そしてその世界のほうが、実は我が子の一生を通じて大きな意味をもつことをお分かりください。多くの方との素敵なたくさんの出会いがありますように。

教育~聴覚口話法と手話

赤ちゃんがもしかしたら聞こえないかもしれないと言われたばかりの保護者の方には、なかなか理解が難しい問題があります。その一つが、聴覚障害教育の世界のことだと思います。聞こえない子どもたちを教育してきた長い歴史の中で、口話法と手話法という二つの指導法をめぐって悲しく残念な歴史があるのです。
口話法というのは、聞こえない人にも声を使って会話ができるようにすることを目指し、またそれを手がかりに日本語を身につけられるようにすることを目的とした指導法です。今は補聴器の性能もよくなり、また補聴器が役に立たないような高度の聴覚障害がある場合も人工内耳手術により、ある程度聴覚活用ができるようになったりします。障害のある聴覚を補聴器や人工内耳で補い、聴覚を活用して口話の力をつける指導を聴覚口話法と言います。
手話法というのは、手話を使って聞こえなくても自由にコミュニケーションがとれるようにし、そのことによって思考力やさまざまな知識を身につけ、日本語の力もつけていけるようにする指導法です。その場合も現在は聴覚活用を無視しているわけではないので、純粋に手話だけではなく、補聴器を使いながら手話も使って子どもたちの指導をしているケースが多いと思います。聴覚手話法という言い方をする場合もあります。
かつて日本のみならずヨーロッパやアメリカでも、聞こえない人を話せるようにすることこそが聴覚障害教育だとして、手話を排斥してろう学校の中で手を動かすことさえも禁じた時代があったのです。そうした口話法と手話法をめぐってのかつての日本のろう教育界の動きを描き出したものに、山本おさむ著「わが指のオーケストラ」という長編コミックがあります。全4巻のこの本を読むと、いかに聞こえない子に対して理不尽な教育が行われてきたのかがよくわかりますし、また激しい排斥を受けながら、消して滅びることのなかった手話という言語への畏敬の念が生まれます。

以前は手話や聞こえない人への偏見や差別があり、人前では自由に手話が使えない時代もありました。そうではなくなったこの21世紀、聞こえない子を教育する場であるろう学校なら、当然聞こえない人の言葉である手話が使われているに違いないと思われるかもしれませんが、日本のろう学校、特に言語発達に大きな影響がある就学前の教育を担っている幼稚部やそれ以前の乳幼児教育相談の場では、手話を使っているろう学校はまだまだ少ないのです。それは、聞こえなくても声で話せるようになってほしいという親や教育者の思いや日本語を身につけさせるために手話を早期から使わないほうがいいという考え方から、手話の導入に否定的な教育方法が根強く残っています。

 新生児聴覚スクリーニング検査のもっとも発達したアメリカ・コロラド州などでは、聴覚障害の赤ちゃんが発見されると各家庭に訪問指導が行われ、その子一人一人にあった方法、その家庭の考え方に適した方法で言語獲得が行われるように、四つのコースから保護者が選択できるようになっています。聴覚口話法、手話法、トータルコミュニケーション法、聴覚法というやり方の中から、その赤ちゃん、その家庭には何がふさわしいか、何がその子の力を一番伸ばせるのか、時間をかけて何度かの見直しをしながら決めていきます。トータルコミュニケーション法とは、いろいろな手段をその子に合わせて使っていく方法です。日本の手話を使って指導しているろう学校は、トータルコミュニケーション法に誓いといっていいかもしれません。また、最近、東京都内に「たつのこ学園」という日本手話を使う私立のろう学校がつくられています。
 
 日本では、全国的にはまだまだバリエーションに富んだ指導方法の中から親が選択できる余地が少なく、それどころか、指導方法もその地域のろう学校、通園施設、指導機関の考え方に従ってやっていくしかありません。アメリカから新生児検査の方法だけ学ぶのではなく、支援内容、指導内容、教育内容なども、日本で欠けている部分を取り入れたり、また日本独自で考えられる方法などを専門家は率先してつくり、検査で発見されたことが、本当に親子や家族の幸せにつながるようになっていってほしいと願っています。

早期支援機関から

菅原仙子(東京都立大塚ろう学校教員・言語聴覚士)

早期支援機関には、ろう学校、難聴幼児通園施設、その他のクリニック等があります。
ろう学校の中には乳幼児教育相談といって、0歳の赤ちゃんから教育を受ける相談システムがあります。0歳の赤ちゃんが先生に指導を受けるわけではありません。お母さんが聴覚に障害のあるお子さんをどのように育てればいいのか、どのようなことを配慮して養育すればいいのか、といったことを学ぶために教育相談に通われることになります。それぞれの家庭の都合にあわせて大体週に1、2回でしょうか。あとは、家庭で、赤ちゃんとお母さんが普通の生活をすればよいのです。普通の生活といっても、赤ちゃんに接するときには一工夫、一配慮が必要です。

赤ちゃんは早くて5,6ヶ月から補聴器を装用し始めることになりますが、補聴器をつけたからといって、私達聞こえる人とまったく同じ聞こえる状態になるわけではありません。しかし、赤ちゃん達はそれが不自由だとか、困ったとか、不幸だなんて決して思わないのです。赤ちゃんは自分が生まれたまま、生まれた今の自分を普通だと思っているのですから。しかし、もし、赤ちゃんが困ったなと感じることがあるとしたら、自分がわかりにくい対応をする人と出会った時ではないでしょうか。聞こえない・聞こえにくい赤ちゃんは、私達と全く同じように耳から様々な音声情報が取り入れられるわけではありませんから、赤ちゃんにぺらぺらとことばで話し掛けるだけでは赤ちゃんは???の状態になるでしょう。赤ちゃんには、100パーセント活用できる目で受け止められるように視覚的に捉えやすい手段を一緒に使って語りかけてあげてください。そうすれば、赤ちゃんにはお母さんの言いたいこと、伝えようとしていることがよくわかり、通じ合えなくて困ったとか、不幸せだ、なんて決して思わないはずです。新生児スクリーニングで難聴がわかった・・・その日から聞こえにくい赤ちゃんに少しでもわかりやすい、伝わりやすいコミュニケーションを工夫していってあげましょう。具体的にはどうすればいいのか、それは私達早期支援機関の相談担当者が具体的にお手伝いしていきます。安心してください。

こうした、コミュニケーションでの工夫をしていきながら、あとは一人の大事な授かった命をいとおしみ、喜び、楽しみながら子育てをして下さい。お母さんは悲しい顔をしていないでくださいね。お母さんの笑顔がたくさん、たくさん、赤ちゃんに投げかけられますように。聞こえにくい赤ちゃんは人一倍よく目を使ってお母さんの表情も見ていますよ。お母さんが楽しそうに、幸せそうに赤ちゃんに向かっていれば赤ちゃんもまたお母さんに声を出したり、笑顔でお母さんを誘ったりすることでしょう。これが赤ちゃんとのコミュニケーションの成立です。早期支援機関では、お母さん達が安心して聞こえない・聞こえにくいお子さんを育てていけるよう、聞こえない成人の方に出会う機会を設けたり、実際に聞こえないお子さんを育てられたお母さん達に会ってお話を聞く機会も設けたりしています。どうしてそのようなことが必要なのかといえば、お母さん達はわが子が将来どのような大人になるんだろう、社会に出て困ることはないだろうか、と心配なことがいっぱいあるのではないでしょうか。是非、聞こえないご本人や先輩のお母さん方に会って、その不安や疑問をぶつけてみてください。きっと不安が安心に変わることと思います。また、早期支援機関では、同じ聞こえない・聞こえにくい子ども達のお母さん同士が出会うチャンスもたくさんあります。お母さん同士、たわいもないおしゃべりをしながらお互いに励ましあって、子育て談義に花を咲かせています。こうした、様々な人々との出会いを通して一歩ずつお母さん達は前向きに子ども達のことを理解していくことができるようになります。そして、子育てを楽しんでいます。

是非、家の中で一人で悩んでいないで、私達早期支援機関の門をたたいてみてください。いっしょに考え、いっしょに子育てを楽しもうとする専門家やお母さんたちが待っていますよ。

早期支援機関がどこにあるのかわからない場合は、お近くの保健所などに問い合わせてみてください。また、この「全国早期支援研究協議会事務局」へメールでお問い合わせ下さい。
メールアドレスは以下のところです。
soukisien@yahoo.co.jp

聞こえない成人から

スマイルフリースクール主宰  早瀬憲太郎

現在、私は聴覚障害を持つ立場で同じ聴覚障害を持つ子どもたちの教育に携わっています。そうした当事者である聴覚障害者の立場から、新生児聴覚スクリーニングに関して医療機関、保健所、療育、教育機関に求めたいことがあります。
 新生児聴覚スクリーニングによる発見までの時期、発見から教育機関を紹介されるまでの時期、いずれにおいても母親への支援、精神的なフォローが最も大切なのは言うまでもないことだと思います。問題は、誰が聴覚障害をどのように説明して、どこを紹介するか、そしてどのように支援をするかという事です。
 母親の中で聴覚障害という事が、負のイメージにつながり非常に深刻な問題として受け止められがちです。それは、母親に聴覚障害という事を最初にどのように説明するかによって、大きく左右されるのではないかと思います。それぞれの時期にすぐに答や支援体制が出てこない現状では、この時期に母親が何を考え、どのように自分を受け止めそして我が子を受け入れるかということが、今後の親子関係に大きな影響を与えると思います。新生児聴覚スクリーニングに携わる関係者が、聴覚障害をどこまで理解して、どのようなイメージをもっているかということを、重要視するべきだと考えています。
 聴覚障害に関する認識をもう一度改めて、多くの成人聴覚障害者の存在を含めて「聴覚障害」を母親に説明する体制を築いてほしいと思っています。
 関係する専門家の方々には、聴覚障害ということがどういう事なのか?を実際に聴覚障害者に触れて話をすることで、少なくとも負のイメージではないもっと広く明るいイメージをもっていただけたら、母親にとっても大きな心の支えにつながると思います。支援の方法についても、必ずしも一つではなくさまざまな方法があります。人工内耳や手話を導入することも、その選択肢の一つです。人工内耳をつければ聞こえる人と同じようになる、あるいは手話を使えば言葉が覚えられなくなるという間違った認識も、多くの方の中にあるようです。また、人工内耳をつけるということは決して手話を使わない、聴覚障害者の世界から決別するという事にはつながりません。子ども一人一人が違うように支援の形も、その方法も一つ一つ変わってくると思います。手話を使って豊かなコミュニケーションを築くのも一つの方法です。
 そして「聴覚障害」に対するイメージも、決して負のものだけではありません。医療の現場になかなか当事者である「聴覚障害者」の生の声が届きにくい現状の中で、直接親に接する機会の多い保健師さんには、是非とも成人聴覚障害者の生の声を届けていただき、手話を使って明るく楽しく暮らしている聴覚障害者の存在を、親たちに知らせていただけたらと思います。支援や教育の方法はさまざまありますが、聴覚障害児の専門教育機関であるろう学校の存在が、非常に大きいという実感が多くの聴覚障害者や母親たちの中にあるようです。母親が聴覚障害という説明を聞いた時に、少なくても明るく広がりのあるイメージを持ってほしいと思います。そして我が子が聴覚障害者と分かったときに、自分の周りには医療関係者を始めとして、保健師さんやろう学校の先生など多くの頼れる存在がいるということに気付いてほしい、支援や教育の方法にはいろいろな選択肢があり、どの選択肢を選んでもその先には多くの先達の母親がいて、そしてたくさんの聴覚障害者がいるということの素晴らしさを、少しでも感じてもらえたらと切に願っています。

 今から5年前に、一人の聴覚障害女性が薬剤師の国家試験に合格したのにもかかわらず、聴覚障害ということが欠格条項という法律に触れるということで却下されました。国家試験合格の後に薬剤師の免許を申請するのですが、実はこのときに聴覚障害を隠して申請しようと思えばできるそうです。しかし彼女は自分が聴覚障害者であることを明らかにして免許を申請しました。その行動は却下という結果で帰ってきました。彼女は多くの人にこの事を知ってもらうべく活動を始めました。それから一年半後に欠格条項という法律が改正され、彼女はようやく免許を受け取ることができました。
 この一連の流れの中でこの法律の存在を知らなかった多くの人が、薬剤師を目指している聴覚障害者の存在を知り、この法律は改正されるべきだと感じました。今、ほとんどの人が聴覚障害者のことを知りません。知らないからどのようイメージして良いか分からず、なんとなく負のイメージをもってしまうようです。しかし実際に聴覚障害者の存在を知ることで、「なんだ、手話を使うだけで後は我々と同じじゃないか」と多くの人が実感します。もし彼女が聴覚障害者として自覚も誇りもなく、それを隠して薬剤師になったとしたら、今の世の中の多くの人は、聴覚障害者について何も知らないままになっていたことでしょう。法律もずっと残っていたことでしょう。この事を是非とも関係者の方々には知ってもらい、そして全ての母親に伝えてほしいと思います。聞こえないということは決して不幸せではありません。不便なことは確かにあります。それはいろいろな工夫や助けでカバーできます。自分自身が幸せになるためには、自分自身をそのまま受け止めることです。そのために、まずは母親が聴覚障害ということを受け止めてほしいのです。受け止められるような説明と支援体制を是非とも作ってほしいと思います。

(平成15年度第8回東京都母子保健研修「新生児聴覚検査による聴覚障害の早期発見・早期療育を考える シンポジウム」発表内容から)

育っていく子ども達~先輩の親から

確定診断が出て、耳型をとったり補聴器を調整したり、いろいろやることがあり、お母さんは忙しいことと思います。最近は、耳型も色つきのものがあったり、耳型の中にシールを埋め込んだり、子どもが喜ぶ工夫をしています。補聴器自体もいろいろな色がでてきて、補聴器でおしゃれもできるようになりました。なるべく目立たないようにというのではなく、見て!見て!、私の補聴器すてきでしょ、と主張しているようです。
赤ちゃんのやわらかいお耳に補聴器をつけるのはさぞかし大変でしょう。ハウリングしないようにきちんと入れようとするとなかなか入らず、赤ちゃんがじれてしまったり、ミルクをもどしたり、こぼしたり、その上やれ、電池がきれた、断線したなど、慣れないお母さんには厄介な代物かもしれません。緊張した顔で赤ちゃんにベビー型補聴器をつけようとすると、そのお母さんの緊張した顔だけで赤ちゃんにとってはいやなこと、ゆっくり少しずつ親子ともども補聴器に慣れていきましょう。
さて、補聴器もついて、さあこれから赤ちゃんの指導をどこで受ければいいの?と困っているお母さんもいるでしょう。

先輩の親として一番先に伝えたいことは、早く見つけて、6ヶ月前に補聴器をつかないと言語発達がよくないのではないかと心配しずぎないで!ということです。けっしてそんなことはありません。確かに軽いお子さんは、早期から補聴器で補ってあげれば、聞こえる子と同等の言語発達をとげるかもしれません。でもそんなに焦らなくても親子の関係がうまくつながれば必ず子どもは言語を獲得していきます。夫婦・親子の安定した関係、心楽しく過ごせる家庭、その中で人と人との心がつながることから言葉ははぐくまれていきます。言葉はこころから出て、こころに入っていくものです。
暖かいほっこりとした耕された豊かな土から多くの作物が芽を出し、伸びて、実を結ぶように、言葉も豊かな土台から伸びていきます。どんなに早く補聴器をつけ、どんなに音や言葉をたくさん聞かせても、そこにお母さんの明るい笑顔がなかったら、何のためにもなるのでしょう。赤ちゃんはつぶらな瞳で一生懸命お母さんを見つめます。初めてこの世に生まれ出て、これが私のお母さんだと見つめます。その赤ちゃんの目に笑顔のお母さんが映らなかったら、どんなに悲しいことでしょう。この世の中は、あなたを歓迎していますよ。この世の中は楽しいことにあふれ、心躍ることがたくさん待っていますよと、どうぞ赤ちゃんに笑顔で語りかけてください。私が生まれてきたこの世の中は、なんだか楽しそうなことがたくさんありそうだと好奇心一杯で目をきらきら輝かせる子どもに育てること、人間や社会に信頼感があり、肯定的な思いで周りと安心して関われること、それは言葉を話し始めるのが数ヶ月早いかどうかより、ずっと大事なことで、その子の一生を豊かに彩ってくれる大きな宝物です。私たちは、お母さんが一日も早く笑顔で子育てができるように、どんな手助けがあったらいいか、一生懸命考えています。どうぞ困ったこと、こうしてほしいことをたくさん伝えてください。きっとあなたのそばにあなた方親子を支えてくれる人たちがいることでしょう。だれかに、どこかに、あなたの声を届けてください。私たちは待っています。

確定診断から教育へ

新生児期のAABRやOAEなどの検査でリファーを告げられると、耳鼻科医での精密ABRの検査を受けることとなります。その結果やはり聴覚に障害がある可能性が強いとなった場合、さらにいくつかの聴力検査を行います。首がすわっている赤ちゃんなら、お母さんが抱っこしたまま音がするほうのおもちゃを見るかどうかなどで検査したり、耳のそばでスピーカーをならし、反応をみたり、一見原始的に見える検査ですが、3歳くらいまではこうした音に対する反応をベテランの言語聴覚士が調べる方法で、聞こえの程度を調べるのです。2、3歳過ぎからはヘッドフォンをして大人のする検査と似通った聴力検査ができるようになってきて、左右の聴力差も測れるようになってきます。
脳波を調べるABRは赤ちゃんの聴覚障害を調べる優れた検査ですが、ABRだけでは確定診断はできません。赤ちゃんの未熟な脳では、聞こえていても十分な脳波が出ていない場合もあるのです。またABRの検査で出てくる数値はおおむね、本当の聴力の10~20デシベル悪い結果が出てきます。ABRの数値にこだわる必要はないのです。あくまでも聴覚障害があるかどうかのひとつの目安でしかありません。いくつかの検査を組み合わせて、その結果から総合的な判断で聴覚障害の有無を決めます。

 障害の告知――、この言葉はあまり使いたくありませんが、確定診断とそしてそのあとの情報提供として、説明したいと思います。確定診断はできたらベテランの小児難聴医から告げられることがいいでしょう。そしてさらにその場に療育や子どもの発達に詳しい言語聴覚士、親の心理的ケアをする臨床心理士がいるとなおいいでしょう。そして医師たちの説明を聞くときは、母親ひとりではなく、必ず複数の家族と一緒に聞きましょう。母親、父親、それぞれの両親、総勢6人で聞いた家族もいます。複数の家族がそろってゆっくりと説明を聞くのであれば、病院の外来診察室などではなく、できたら落ちついた別室で、それぞれきちんと座って話をきくべきだと思います。説明する医師のほうは、できたら渡せるプリントなどがあるといいでしょう。親のほうもメモをとり、わからないことはきちんと質問できる用意をしましょう。そこで話されることは、なかなか頭の中に残らないかもしれません。でもきっと一生その日、そのときのことを忘れない特別な日となることでしょう。聞こえない赤ちゃんがあなたの子どもとなった日です。そして聞こえない世界、聞こえない人たちへ開かれるスタートの日となることでしょう。
多くの親にとって一生忘れられない日となるのに、しかしそのときに話されたことをよく覚えていないということもあります。頭の中がまっしろになった、周りの景色が色を失い、白黒の世界になった、冷静になろうとしたのに同じ質問を何度も繰り返していた、赤ちゃんを抱きしめて涙が止まらなくなった、それぞれいろいろな言葉で親たちは語っています。聞こえる人間にとって聞こえないという状況がわからず、訳のわからない世界に突き落とされたと感じてしまうことでしょう。すべてそこで理解することは無理です。いい医療機関なら、なんどかの機会をつくって、聞こえないことに初心者の親御さんの理解を少しずつ深めてくれるはずです。ホームトレーニングとか両親講座、難聴ベビー外来プログラムなどの名称で、数週間にわたって話をしてくれ、またその間に聴力検査をしたり、補聴器を調整してくれたりするところもあります。
そうした情報提供において欠かせないのは、医療者側の偏見のないバランスのとれた聴覚障害の紹介です。そして、これから赤ちゃんを育てていくご両親が我が子の将来に夢を持てるような話にもぜひ触れてほしいと思います。たくさんの大きく成長し、すばらしい大人になり、社会で活躍している聴覚障害の方たちがいます。そして親御さんには聴覚障害の重い、軽いは関係なく、音声語を話す、話さないに関わらず、聞こえない人、聞こえにくい人が立派な人となっていけることを十分にわかってほしいです。

本来なら、こうした聴覚障害理解は新生児聴覚スクリーニングを受ける前に、母親学級などできちんと話されるといいのだと思います。検査は簡単だ、赤ちゃんは痛くない、などの説明だけではなく、さてこの検査で発見される聴覚障害とはどのような障害なのか、それはどのような意味を持ち、我が子がもしそうだとしたらどのように育っていき、親である自分は何をしたらいいのだろうか。そうした理解が十分ならば、確定診断のときに、大きなショックを受けることもありません。聞こえない人として我が子は成長していくのだ、そしてそのことは我が子の育ちになんのマイナスでもない、生き生きと明るく育っていく道があるのだ、そのスタートを親である私たちが切ればいいだけなのだ。そうわかってから、新生児検査を受け、リファーを告げられたなら、親御さんたちが特にお母さんが、出産後の体調の回復していない時期に大きな悲嘆のなかに落ち込むことなく、幸せな子育てのスタートが切れるのではないでしょうか。

聞こえないこととは?

生まれつき聞こえに障害のある子は1,000人に1人か2人の確立で産まれると言われています。
そしてその両親のほとんどは聞こえる親で、また親族にも聞こえない人がいないケースが多いのです。
今まで聞こえない世界、聞こえない人と何の関わりもなく生活していた人が突然聞こえない世界と出会い、聞こえない子の親になるのです。さぞかし多くの戸惑いや不安があることでしょう。
まだ確定診断がつかず、聞こえていないかもしれないと言われただけでも、心配や不安で夜も眠れなくなるお母さんがいます。
リファーといわれた段階からなんらかのサポートが必要なのだと思います。
長い妊娠期間を終え、やっと待望の赤ちゃんを胸に抱いたばかりの時期、我が家に初めて赤ちゃんを迎え入れ、これから新しい家族として一歩を踏み出すスタートのときに、大きな不安ばかりが目の前にぶら下がっていることは、本当に辛いことだと思います。
きちんとした診断がつくまでには、数ヶ月かかるものと思われます。それまでにできることは、お母さんの心が安定して赤ちゃんを可愛いと思えるようになっていること、母子の愛着形成といいますが、そういう関係ができることが一番大切なのです。
お母さんと赤ちゃんがいい関係を結べるよう、周りの家族はさまざまな手助けをしてあげてください。
特にお父さんはしっかりとお母さんを支えてあげてください。
赤ちゃんをつれてお母さん一人で病院に行くことは大変な負担です。
一緒に通院したり、早めに帰って様子を聞いたり、それぞれのご家庭でできる限りの協力をしてください。また医療機関や保健所などからも可能なかぎりサポートを受けましょう。
たくさんの人からの助けをうまく受けて、この時期を乗り切ってください。
そしてたぶん一番お母さんの心が休まるのは、同じ思いをした他のお母さん方との出会いだと思います。
同じような不安の中にいる仲間や大きくなった子どもを育てた先輩の親御さんと出会い、自分の不安や悩みを打ち明けるだけで一人ぼっちではないのだとわかります。あなた方の周りにはいままで見えなかっただけで、たくさんの同じ思いをした仲間がいるのです。
そして成長して大きくなった成人の聞こえない人たちもすぐ近くで生活をしています。
結婚をして子どもを育て、あなたと同じような親になっている人たちもいることでしょう。
同じ思いをした親同士で会うことと、成人の聞こえない人、聞こえにくい人たちで出会うことをお勧めします。
そして少しずつ聞こえないってどういうことなのか、知っていってください。
知ることによって、漠然とした大きな不安が少しずつ消えていくことと思います。
<聴覚障害の基礎知識>
聞こえない、聞こえにくいという状態は、一人一人非常にまちまちで、一口で説明はできません。
高い音だけが聞こえない人もいますし、全体に聞こえにくい人もいます。
低音と高音だけ聞こえていて人の話し声くらいの部分だけが聞こえない人もいます。
そして音としてはほとんど聞こえない<ろう>と言われる人もいます。
新生児聴覚スクリーニング検査では35デシベルという小さな音での検査なので、いままで発見されにくかった軽度のお子さんも超早期から発見され、その後のなんらかの対応が求められます。
まだ日本では、そのような中・軽度のお子さんへどのような療育が必要なのか、道筋はついていません。手探りでの療育支援が始まろうとしているところで、まだまだ混乱している現場があるのが事実です。

1.聞こえのしくみ

耳の構造 伝音性難聴、感音性難聴、混合性難聴

2.乳幼児聴力検査のいろいろ

AABR、OAE(誘発耳音響放射TEOAE、歪成分耳音響放射DPOAE)、精密ABR、COR、BOA、遊戯量力検査

3.デシベル
 
4.オージオグラム

オージオグラムの例、その見方、何をみるといいのか

5.補聴器

アナログ補聴器、デジタル補聴器 骨導補聴器

新生児聴覚スクリーニング検査とは?

生まれたばかりの赤ちゃんの聞こえを検査する新生児聴覚スクリーニング検査が各地で行われています。
すでに検査を受ける赤ちゃんは生まれる赤ちゃんの60%といわれていますが、行政が主導する事業として検査している地域もあったり、民間の産婦人科医院が独自に検査していたりとさまざまです。
また、検査体制そのものもさまざまですが、検査後のフォローや早期支援、情報提供なども非常にまちまちな状態です。
私たちは、新生児聴覚スクリーニング検査でお子さんの聞こえに不安を抱いているご両親やご家族への豊かな情報提供の場となることを目指しています。
また、診断が確定してお子さんと歩み始めた親御さんにとってもいろいろな疑問や悩みを相談できる場となりうるように願っています。
私たちは、先輩の親、成人聴覚障害者本人、教育関係者、医療関係者が一緒になって、戸惑い悩んでいるご家族に聞こえない、聞こえにくい世界を理解できる手助けをし、そして未来を生きていく子ども達が生き生きと自信を持って成長していけるよう応援していきたいと考えています。

新生児聴覚スクリーニング検査

眠っている赤ちゃんに35dB(デシベル)*の小さな音を聞かせ、その刺激に反応して起こる変化をコンピューターが判断し、音に対して正常な反応があるかないかを調べる検査です。
今は大きく分けて2種類の検査機器、AABR(自動聴性脳幹反応)とOAE(耳音響反射法)が使われていますが、今後はまたもっと別な検査機器も使用される可能性もあります。
<*デシベルというのは、音の大きさを表す単位で、正常な人の聞こえる最小の音を0デシベルとし、数字が大きくなるにつれて大きな音を表していきます。35デシベルというのは、ささやき声くらいの大きさの音で、通常の1対1の会話くらいですと50~60デシベルくらいです。電車のガード下くらいの騒音なら100デシベル、ジェット機のエンジン音なら120デシベルと数字が大きくなっていきます。>

1.検査のやり方

赤ちゃんを出産した病院に検査機器がある場合は、入院中にAABRかOAEのどちらかで聞こえをチェックします。
検査の前に、どのような検査であるか、なにがわかり、その後はどうなるのかなどの説明が医師から行われるはずですが、十分な説明がなされないままで検査される場合もあるようです。
もちろん検査が必要ないと判断し、断る権利も保護者にはあります。
かかる費用も、今は病院によりまちまちです。
出産費用に含めて基本的に希望しない人以外全員に行う産婦人科もあります。
また希望者に数千円の費用で有料で行うところもあります。
また、行政がモデル事業として、市民に無料で検査し、その後の追跡調査を行っている地域もあります。
検査自体は、眠っている赤ちゃんに音の刺激をいれ、それに反応するかどうかを調べる簡単な検査です。
短時間ですみ、赤ちゃんにとって痛くもなく、検査を行うのに特別な資格も熟練者も必要ありません。

2.検査結果とその意味

AABRで検査した場合、パス(通過)とりファー(要再検査)という2種類の検査結果が出ます。
パスでしたら、新生児の今の時点で聞こえに問題はありませんという意味です。
(聴覚障害には進行性難聴や突発性難聴もあります。新生児では聞こえていたが、3歳のときに聞こえなくなっていたということもあります。)
リファーは再検査の必要がありますという意味です。
精密ABRの検査ができる医療機関に行き、より正確な検査を受ける必要があります。
OAEで検査した場合、同じように2種類の検査結果が出ますが、OAEはAABRに比べて、精度が劣るので再度AABRでの検査を受ける必要があります。
AABRの検査次第では、パスする場合もあります。
そこでやはりリファーという結果が出た場合は、精密検査を受ける必要が出てきます。
なぜ、精度の落ちるOAEも検査機器として使われるのかと疑問をお持ちかと思います。
まず検査機器の値段がOAEのほうが安いので、年間出産数が多くない産婦人科ではなかなか高額なAABRの購入は難しいのです。
さらにAABRのほうは、一回検査するごとに使い捨てのイヤーカプラという赤ちゃんの耳にはめる用具が必要で、その価格も数千円し、コスト面でなかなか民間産婦人科での導入が進まないというのが現状です。
さて、もしリファーという結果がでたら、それはどういうことを意味しているのでしょう。
それは赤ちゃんの耳が聞こえていないということを意味しているのではないのです。
35デシベルという小さな音にまだあなたの赤ちゃんは反応していませんよというだけの意味です。
45デシベルの音にだったら反応するかもしれません。
また新生児では反応しなかったけど、3ヵ月後や半年後など少し成長したら反応するかもしれません。
どちらの検査機器でも、その時点での赤ちゃんを聞こえているか、聞こえていないかもしれないか、簡単にふるいわけをするだけなのです。
何らかのケアをしなければならない聴覚障害のある赤ちゃんかどうかは、そのあとの精密検査や、成長していろいろな反応がはっきりしてから受ける聴力検査をするまではわからないのです。

3.検査の流れ

出産した産婦人科でリファーと言われ、そのあとに紹介されるのは精密ABRという検査ができる医療機関です。
そこで行うのは、入眠剤を使い眠らせて脳波の反応を調べる検査です。
産婦人科で行う検査より大掛かりでまた専門の検査技師も、検査結果をきちんと診断できる耳鼻科医も必要です。
その検査で反応が出て、パスとなることもありますし、反応が出ないで、さらに再検査となることもあります。
しかし、聴覚障害があるかどうかの判断はまだ赤ちゃんではなかなかできないのが実情です。
成長を待って、首がすわって音刺激に赤ちゃんなりに反応がでてくるまで待たないとはっきりと診断ができないのです。
精密ABRで反応が出なくても1歳くらいでやっと反応が出てくるお子さんもいます。
聴覚障害の確定診断がつくまでには個人差があることを知っていてください。
精密ABRで反応が出ない場合は、必ず小児難聴の専門医がいて、なおかつ乳幼児の聴力検査が正確にできるSTのいる病院や療育施設を探して、そこできちんと診断を受けましょう。
新生児期にリファーと言われて、最終的に聴覚障害があるかどうか判明するのは、早くても生後3,4ヶ月、遅いお子さんだと1歳過ぎることもあります。
またそのときに正常でしたという診断がつくこともあります。
また、こんなことがあってはいけないのですが、リファーがでたあとの精密検査医療機関をきちんと把握していないで検査のみしている産婦人科も皆無とはいえません。
親御さんを不安にさせただけで、ではそのあとの検査をどこで受けたら良いのか情報を提供しない、住まいの近くではどこが信頼にたる医療機関なのかきちんと責任をもって紹介をしないのでは、何のためのスクリーニング検査なのかわからなくなります。
その場合は、地域の保健所、ろう学校、難聴幼児通園施設、親の会などに連絡をとっていただくのがよいと思います。

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