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新生児聴覚スクリーニング検査とは?

生まれたばかりの赤ちゃんの聞こえを検査する新生児聴覚スクリーニング検査が各地で行われています。
すでに検査を受ける赤ちゃんは生まれる赤ちゃんの60%といわれていますが、行政が主導する事業として検査している地域もあったり、民間の産婦人科医院が独自に検査していたりとさまざまです。
また、検査体制そのものもさまざまですが、検査後のフォローや早期支援、情報提供なども非常にまちまちな状態です。
私たちは、新生児聴覚スクリーニング検査でお子さんの聞こえに不安を抱いているご両親やご家族への豊かな情報提供の場となることを目指しています。
また、診断が確定してお子さんと歩み始めた親御さんにとってもいろいろな疑問や悩みを相談できる場となりうるように願っています。
私たちは、先輩の親、成人聴覚障害者本人、教育関係者、医療関係者が一緒になって、戸惑い悩んでいるご家族に聞こえない、聞こえにくい世界を理解できる手助けをし、そして未来を生きていく子ども達が生き生きと自信を持って成長していけるよう応援していきたいと考えています。

新生児聴覚スクリーニング検査

眠っている赤ちゃんに35dB(デシベル)*の小さな音を聞かせ、その刺激に反応して起こる変化をコンピューターが判断し、音に対して正常な反応があるかないかを調べる検査です。
今は大きく分けて2種類の検査機器、AABR(自動聴性脳幹反応)とOAE(耳音響反射法)が使われていますが、今後はまたもっと別な検査機器も使用される可能性もあります。
<*デシベルというのは、音の大きさを表す単位で、正常な人の聞こえる最小の音を0デシベルとし、数字が大きくなるにつれて大きな音を表していきます。35デシベルというのは、ささやき声くらいの大きさの音で、通常の1対1の会話くらいですと50~60デシベルくらいです。電車のガード下くらいの騒音なら100デシベル、ジェット機のエンジン音なら120デシベルと数字が大きくなっていきます。>

1.検査のやり方

赤ちゃんを出産した病院に検査機器がある場合は、入院中にAABRかOAEのどちらかで聞こえをチェックします。
検査の前に、どのような検査であるか、なにがわかり、その後はどうなるのかなどの説明が医師から行われるはずですが、十分な説明がなされないままで検査される場合もあるようです。
もちろん検査が必要ないと判断し、断る権利も保護者にはあります。
かかる費用も、今は病院によりまちまちです。
出産費用に含めて基本的に希望しない人以外全員に行う産婦人科もあります。
また希望者に数千円の費用で有料で行うところもあります。
また、行政がモデル事業として、市民に無料で検査し、その後の追跡調査を行っている地域もあります。
検査自体は、眠っている赤ちゃんに音の刺激をいれ、それに反応するかどうかを調べる簡単な検査です。
短時間ですみ、赤ちゃんにとって痛くもなく、検査を行うのに特別な資格も熟練者も必要ありません。

2.検査結果とその意味

AABRで検査した場合、パス(通過)とりファー(要再検査)という2種類の検査結果が出ます。
パスでしたら、新生児の今の時点で聞こえに問題はありませんという意味です。
(聴覚障害には進行性難聴や突発性難聴もあります。新生児では聞こえていたが、3歳のときに聞こえなくなっていたということもあります。)
リファーは再検査の必要がありますという意味です。
精密ABRの検査ができる医療機関に行き、より正確な検査を受ける必要があります。
OAEで検査した場合、同じように2種類の検査結果が出ますが、OAEはAABRに比べて、精度が劣るので再度AABRでの検査を受ける必要があります。
AABRの検査次第では、パスする場合もあります。
そこでやはりリファーという結果が出た場合は、精密検査を受ける必要が出てきます。
なぜ、精度の落ちるOAEも検査機器として使われるのかと疑問をお持ちかと思います。
まず検査機器の値段がOAEのほうが安いので、年間出産数が多くない産婦人科ではなかなか高額なAABRの購入は難しいのです。
さらにAABRのほうは、一回検査するごとに使い捨てのイヤーカプラという赤ちゃんの耳にはめる用具が必要で、その価格も数千円し、コスト面でなかなか民間産婦人科での導入が進まないというのが現状です。
さて、もしリファーという結果がでたら、それはどういうことを意味しているのでしょう。
それは赤ちゃんの耳が聞こえていないということを意味しているのではないのです。
35デシベルという小さな音にまだあなたの赤ちゃんは反応していませんよというだけの意味です。
45デシベルの音にだったら反応するかもしれません。
また新生児では反応しなかったけど、3ヵ月後や半年後など少し成長したら反応するかもしれません。
どちらの検査機器でも、その時点での赤ちゃんを聞こえているか、聞こえていないかもしれないか、簡単にふるいわけをするだけなのです。
何らかのケアをしなければならない聴覚障害のある赤ちゃんかどうかは、そのあとの精密検査や、成長していろいろな反応がはっきりしてから受ける聴力検査をするまではわからないのです。

3.検査の流れ

出産した産婦人科でリファーと言われ、そのあとに紹介されるのは精密ABRという検査ができる医療機関です。
そこで行うのは、入眠剤を使い眠らせて脳波の反応を調べる検査です。
産婦人科で行う検査より大掛かりでまた専門の検査技師も、検査結果をきちんと診断できる耳鼻科医も必要です。
その検査で反応が出て、パスとなることもありますし、反応が出ないで、さらに再検査となることもあります。
しかし、聴覚障害があるかどうかの判断はまだ赤ちゃんではなかなかできないのが実情です。
成長を待って、首がすわって音刺激に赤ちゃんなりに反応がでてくるまで待たないとはっきりと診断ができないのです。
精密ABRで反応が出なくても1歳くらいでやっと反応が出てくるお子さんもいます。
聴覚障害の確定診断がつくまでには個人差があることを知っていてください。
精密ABRで反応が出ない場合は、必ず小児難聴の専門医がいて、なおかつ乳幼児の聴力検査が正確にできるSTのいる病院や療育施設を探して、そこできちんと診断を受けましょう。
新生児期にリファーと言われて、最終的に聴覚障害があるかどうか判明するのは、早くても生後3,4ヶ月、遅いお子さんだと1歳過ぎることもあります。
またそのときに正常でしたという診断がつくこともあります。
また、こんなことがあってはいけないのですが、リファーがでたあとの精密検査医療機関をきちんと把握していないで検査のみしている産婦人科も皆無とはいえません。
親御さんを不安にさせただけで、ではそのあとの検査をどこで受けたら良いのか情報を提供しない、住まいの近くではどこが信頼にたる医療機関なのかきちんと責任をもって紹介をしないのでは、何のためのスクリーニング検査なのかわからなくなります。
その場合は、地域の保健所、ろう学校、難聴幼児通園施設、親の会などに連絡をとっていただくのがよいと思います。

2007年05月15日 23:04

2007年05月15日 23:04に投稿されたエントリーのページです。

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